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2012-08-31

南アの鉱山労働者への警官隊の発砲その3(Police shootings at mine in South Africa)

 本日8月30日まで、一日で34人が亡くなり、78人が傷ついたマリカナの警官隊発砲事件関連報道は途絶えることなくテレビやラジオで連日続いています。しかし、ケープタウンの地元紙紙面は1面トップ記事ではなくなってきました。8月16日の事件発生から2週間を経て、マスコミ報道も少し落ち着いてきたとの感触です。ズマ大統領がこの事件の真相を背景も含めて明らかにするとして委員会がつくられ、作業が進められていることから、少なくともそこでの調査結果を踏まえる時期に入ったとも見えます。しかし、私はこの事件の南ア社会に与えた影響は大きいし、今後も折に触れて振り返る必要があると思います。その後の経過として私が注目していることをいくつか書き込みます。(以下はいずれも本日の時点での覚え書きと言った性格の文章になります…)

①8月21日に南アの国会でこの問題が取り上げられ、国会質疑がありました。ここでは「警官隊によるストライキ中の労働者への実弾の使用を誰が決めたのかを明らかにすべき」、「警察大臣のNathi Mthethwaの辞任を要求する」など主にDAやCopeなどの野党側から追及がなされました。

②8月10日からのストライキはマリカナ鉱山のAmcuとNUMの二つの労働組合に主導されました。    ( Amcu(Assoociation of  Mineworkers and Construction Union) と NUM(Natinal Union of Mineworkers)
 このストライキはさらにさかのぼって、7月末頃からのロンミン社のマリカナプラチナ鉱山での賃金をめぐる労使交渉に端を発しています。会社側は鉱山労働者の賃金アップを3ランクにに分けて行う旨を表明しました。すなわち、掘削士には750ランドまで、掘削助手には500ランドまで、掘削助手補には250ランドまでの交渉を認める案を出したとのことです。それに対してAmcuとNUMは労組員を獲得するための勢力争いがあり、対立はしていたが、このランク分けにはこぞって反対を表明しました。(しかし、コサツとNUMの関係や、コサツを通しての現政権との関係は不明です。また、労働組合としての要求レベルの違いはや3000人と報道されているストライキ参加者のそれぞれの労働組合の勢力比はまだ数字が判りません。)
 
③ロンミンプラチナ鉱山労働者の平均的な賃金レベルと賃上げ要求内容が報道されました。
実際の掘削を担当するドリラーでは1万500ランド(10万5千円)/月程度ですが、それを12万5百ランド(12万5千円)/月へと引き上げて欲しい。つまり19%の賃上げ要求だったということです。
④8月10日の時点から、操業機械を止めて、抗議行動がはじまり、2人の従業員が怪我をして、病院へと運ばれた。11日にはヒルトップに続々と労働者が集まり、その中で二つの労組の小競り合いもあったようです。12日には5人以上が発砲で傷つき、2人の会社関係者が死亡する事態となりました。8月13日には3千人規模の労働者が集まり、二つの労組の衝突もあり、また、労働者が鉱山施設に立ち入るなどして、衝突があり警察官2名と6人の労働者が死亡しました。14日には数多くの武装した警官隊がロンミンに到着しました。15日はストライキの参加者たちがヒルトップに戻り、二つの労組代表がそれぞれストライカー達と交渉もしましたが不調に終わりました。
 7月下旬から8月16日に至るまでの経営者、労組、警官隊のそれぞれの詳細な動きはまだ良くはわかりません。特に経営者側がどのように事態を収拾しようとしたかは殆ど不明です。
⑤8月23日にJudicial commissionが発足し、議長がIan Farlamの3名の委員が発表になりました。
(Ian Farlam, Bantubonke Tokota, Pingla Hemraz)労働者のストライキが警官隊の発砲に至るまでの経過を中心に調査を行うと言うことですので、7月下旬から8月16日至る期間に最悪のシナリオを打開する何かの方策がなかったのかどうかも含めて、この委員会が調査結果を発表することになります。

以上のようなことがらですが、引きt続き、事態の推移をただ待つのではなく、自分で判ったことは、このブログに書いていきたいと思います。 最近の報道で私が注目していることは、死亡したあるいは傷ついた労働者の背中からの銃痕が多数の事例として残っているとの記事です。

3 件のコメント:

  1. 8月16日にロンミン鉱山労働者に対する警察発砲で34人もの死者が出た事件で南ア社会は大いに動揺しています。ところが8月下旬、検察が鉱山労働者270人を殺人の容疑で起訴したので、みんなびっくり仰天です。数日中に起訴取り下げになりましたが、南ア社会で起こっていることに目が離せない今日この頃です。

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  2. 270人もの集団起訴の話が現在進行中のズマ大統領の指示で進められている調査委員会の結論がだされる前に登場して驚きました。その後の展開も日本人の私には理解できない事が多々あり、現在調べている状況です。まとめて第4の報告をブログに載せる予定です。コメントありがとうございました。

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  3. 先ほどテレビの映像で、無抵抗な労働者が警官隊に銃撃され、次々に倒れていくのを見ました。この国には、正義がないのですね?元警察官として、とてもショックです。

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